最近特に、小学校高学年で英検の準2級、2級、場合によっては準1級を受験される方が増えているように感じます。中学受験や高校受験、大学受験の際に優遇制度があることもあると思いますが、純粋に段階的に英語力をつけていく上で、とても良い指標になることが理由としては大きいのではないかと思われます。

そんな中で、よくいただくご質問が、これまでリスニングやライティングの点数がよかったので合格できたけど、リーディングの点数はあまりよくないので、何とかなりませんか、というものです。そもそも小学生で3級や準2級にすでに合格している時点で驚きですが、さらに上を目指すためには確かにリーディングパートもバランスよく伸ばしていくことはどうしても避けられません。

ただし、小学生が例えば英検2級を受験するにあたり大きな壁があるのです。それは言葉や背景知識の壁です。もともと英検2級などは高校レベルの英語力を評価する内容であり、それに伴い、読解問題の内容もかなり難しく、小学生にとっては英語の問題以前に、日本語、あるいは背景知識の問題が立ちはだかってしまう。かといってリスニングやライティングの点数を上げることでカバーするにも限界がある。そこでどのようにリーディングパートの点数を上げていくかについて考えてみたい。

過去問題や予想問題で背景知識を補う

英検対策としては過去問や予想問題にしっかり取り組むことが一番の正攻法だと思います。実際に取り組む本人も学習に対するモチベ―ションが維持できますし、ある程度出題のパターンがあるので、それに慣れておくだけでかなり気持ち的にも楽になると思います。その上でどのように取り組むとよいのかについて考えてみましょう。

一番大事なことは、初めはあまり、答えがあっている、間違っているということを気にしないことです。そうではなくて、リーディングの内容がしっかり理解できているかどうかを自分なりに見極めることが大切です。実際に生徒さんにリーディング問題をどれくらい把握できたかを確認してみると、ご本人が理解できていると認識しているレベルと、本来この程度までの理解は必要と考えられるレベルに大きな差があることが少なくありません。

1文ずつ訳出することで、客観的に理解度を把握

実は自分がどれくらいの精度で読めているのかを客観的に把握するのは小学生にとっては特にハードルが高いのです。結果として、選択した答えがなぜ間違っているのかがいまいちピンと来なかったりします。そこで、対策の一つとして、生徒さんと1文ずつの読み合わせをする方法が有効です。1文ずつ生徒さんにまずは英語で読んでもらい、その英語を今度は日本語に訳してもらうのです。英語の読み方や、日本語訳を聞けば、どれくらい理解できているのかは一目瞭然ですし、理解できていない原因も明確に把握できます。単語を知らないことが原因なのか、文法・構文が取り切れていないのか、あるいは文章の背景知識が足りないのか、それぞれ対策は変わってきますが、まずは原因をつかむことが大切です。

実際にこの方法は準1級や1級の受験生対象にも行われているとても効果的な方法です。ただし、1文1文確認していくので、根気もいりますし時間もかかります。何のためにこの方法に取り組んでいるのかを、生徒さんにしっかりと理解をしてもらった上で取り組むことが大切です。

1文ずつ訳出していく方法のメリットは、まだあります。生徒さんが訳した後に、先生が正確な訳出をするのを生徒さんがどのように聞いているのかをよく観察することです。場合によっては訳出した日本語自体が難しく小学生には理解できない場合も少なくありません。そんな時は、よりやさしい日本語で訳出することで、英語のみならず背景知識も補完していくことが出来ます。

先生からマンツーマンで教えてもらえる環境にあればいいですが、普通はなかなかそんな環境にはないと思います。そこで、自分で対策を取る方法をご紹介します。それは、過去問のリーディング問題の訳出を参照しながら1文ずつ訳出をして比較していく方法です。旺文社や数学社の出版する過去問題集にはリーディング問題の全文訳出やその解説が丁寧に載っています。これらを参考にしながら1文ずつ自分の訳出と比べていくのです。そしてなぜそのような訳になるのか分からない、というところが必ず出てくると思いますのでそれらにチェックマークを入れておいて、学校の先生や英語の分かる人に、なぜそのような訳になるのかを質問するのです。この方法はちょっと面倒な感じがしますが、実は自分のペースで進められるし、教材費も限定的ですので、費用対効果の高いよい方法だと思います。合う合わないは生徒さん本人の性格にもよりますが、一度試してみる価値はあると思います。