英語を学習していて、発音については苦手だし、そもそもどうやって学習したらよいのか分からない、という方は多いと思います。発音は英語を学ぶ上でとても重要です。発音をしっかりと身につけずに学習を進めてしまうと、実際に外国人と話をする際にこちらの英語がスムーズに伝わらない、あるいは相手の英語の音がうまく聞き取れない、という可能性がでてきます。発音を文字で説明するのには限界がありますが、理論的、あるいはイメージをもっていただく、という目的で説明していきます。発音を学習するきっかけになれば幸いです。
日本語と英語の母音の違いを知ろう
日本語と英語の発音のちがいについてまず一番に挙げられるのは母音についてです。日本語で母音といえば「あいうえお」の5つです。では英語の母音はというと、なんと15もあるのです。おどろきますよね。母音だけでもそんなに数がちがうなんて不思議な感じがしませんか。次のチャート図を見て下さい。日本語の母音と英語の母音を比べたものです。日本語が5つの母音なのに対して英語は15もの母音があります。
※それぞれ向かって左側が顔の正面で右側が頭の後ろだと思ってください。音を口の中のどの辺りで発声するのかを示したチャートになります。
なにがそんなにちがうのかを説明します。まず「あいうえお」と声に出して何回か言ってみてください。特に力んだりもせず少し口を動かせばすべての音が出せますよね。では英語の母音15個すべて出そうとするとどうなるか。かなり大変です。イメージとしては顔中の筋肉を使って口の前の方で音を出したり、口の奥の方で音を出したり、しかめっ面を作りながら音を出したり、大口を開けて音を出したり、時には犬がうなるような音を出したりと、とにかく大忙しです。口の中を部屋として例えると、日本語の母音は4畳半一室の中で5つの音を出しているのに対して、英語では15畳のリビングで、あっちで音を出したりこっちで音を出したり、といったイメージです。
日本語の母音を確認しよう
それでは、まずは日本語の母音から詳しく見ていきましょう。下のチャート図をご覧ください。日本語の母音5つ「あいうえお」がならんでします。
「あ」は口の真ん中あたりで出す音です。「い」は「あ」よりも少し前で少し上あたりで出す音です。「う」は反対に、「あ」よりも少し口の奥で少し上で出す音です。「え」は「あ」よりも少し前で少し下あたりの音です。最後の「お」は「あ」よりも少し奥で少し下あたりで出す音です。実際に声を出しながらゆっくり何度も「あいうえお」と言ってみて下さい。通常よりも少し大げさでもよいので、この音を出す位置関係を口の中で感じて下さい。この前後上下の関係を「あいうえお」で認識できることが英語の母音を学習するスタートになります。日本語の「あいうえお」の位置関係が認識することができればかなりセンスがいいと思います。英語はそこから更に前後上下に大きく振れた音を作っていく感覚です。
英語の母音を確認しよう
ではいよいよ英語の母音を見ていきましょう。チャート図をご覧ください。1番から15番まであります。日本語の3倍ですね。番号の横に墨カッコで記載しているのが発音記号です(発音記号の母音の部分です)。辞書などで単語を調べると単語の横にカッコで書いてある記号です。13番から15番は右下に記載していますが、これらは2重母音というもので、チャート図の中で表現するのが難しいのでこのように記載しています。
一つ一つの母音の発声方法の説明に移る前に次の表をご覧ください。左から母音番号、母音の発音記号、一番右がその母音を使っている単語の一例を記載しました。参考にしていただければと思います。また7番の母音の発音記号に、ə/強ʌ と記載してあります。上のチャート図の表示とは少し違いますが、これは7番の母音のパートで説明します。では次のセクションより、いよいよ母音の発声方法について順番に見ていきましょう。
母音番号 | 発音記号 | 単語例 |
1 | i: | speak |
2 | i | sit |
3 | ei | say |
4 | e | egg |
5 | æ | man |
6 | a | hot |
7 | ə/強ʌ | but |
8 | ər | girl |
9 | ɔ: | ball |
10 | ou | show |
11 | u | book |
12 | u: | pool |
13 | ai | buy |
14 | au | now |
15 | oi | boy |
母音の 1番【i:】の発声方法
母音の1番【i:】の音は口の「前の上の方」で出すイメージです。子供がお友達とけんかして、「もう〇〇ちゃんなんかきらい、イーダッ!」っていいますよね。この時の「イーダッ!」の発声です。口角が横に開かれ、両方のほっぺたにかなり力が入っていて顔の上の方に引き上げられた状態になっていればOKです。あまり人には見せたくない表情かもしれません。母音の1番を使う単語をいくつか紹介します。鏡をみながら大きな声をだして、繰り返し練習してください。
母音1番の単語紹介(ストレスマークはすべてiの上です)
tea【ti:】お茶
mean【mi:n】意地の悪い
read【ri:d】を読む
speak【spi:k】話す
need【ni:d】~する必要がある
speed【spi:d】速さ
今回の記事の共通ルール
※15個の母音それぞれについて、単語紹介として単語・発音記号・意味を記載します。すべての単語に最低1か所のストレスマーク(その単語で一番強く読むところの上に ́ このようなマークが入ります)が入りますが、記事の中ではストレスマークの表記ができませんので、母音ごとの単語紹介において、括弧書きで(ストレスマークは~の上)のように記載しています。また単語例の右に記載した日本語の意味については、実際には同じ単語に複数の意味がある場合が多いですが、参考までに任意に1つを選んで記載していることをご承知おきください。
母音の 2番【i】の発声方法
母音の2番【i】の音は口の「前の少し上の方」で出すイメージです。母音1番の「イーダッ!」の発声をしたあとにちょっと力を抜いた時に出る音です。イーッと強く発声した後に力を抜いて少し声を漏らすと、イとエの間のような軽い声が漏れます。これくらい、あまり力まず出せるのが母音の2番の音です。この音を出す時には、1番で横に開かれていた口角や上に引き上げられていたほっぺたは、すっと通常のポジションに戻ると思います。この通常のポジションに戻る時に声を漏らすとでる音が2番の音です。
母音2番の単語紹介(ストレスマークはすべてiの上です)
pick【pik】つまみとる
miss【mis】(独身女性の名前の前に付けて)〇〇さん
listen【lisn】聴く
sit【sit】座る
it【it】それは
※itは代名詞で、通常の会話ではストレスすることはありません
city【sity】市
give【giv】与える
母音の 3番【ei】の発声方法
母音の3番【ei】の音は、一度あごをおろして口をたてに開けて「エ」の音を出した瞬間にリズムよくあごをもどして口を閉じながら「イ」の音をだすプロセスになります。ここで重要なのは、「エ・イ」とそれぞれに同等のストレスをおくのではなく、「エィ」という感じで、「エ」に目いっぱいエネルギーを注ぎ、口が閉じるタイミングで気持ち程度に「ィ」をそえる感じです。当然発声をしている時間的配分も「エ」の方が「ィ」よりも圧倒的に長くなっているはずです。
母音3番の単語紹介(ストレスマークはすべてeの上です)
rain【rein】雨
wait【weit】待つ
fail【feil】失敗する
say【sei】を述べる
late【leit】(時刻が)遅い
hate【heit】を憎む
tale【teil】物語
bake【beik】を焼く
アドバイス
発音を練習するときに最も大事なことは大きな声で行うことです。必要以上に大げさに顔中の筋肉を使って音を出す練習をしてください。そうすることで、それぞれの音を出す筋肉が発達し、そのうちにそんなに力まなくても正確な音が出せるようになります。はじめは大げさにやるのがコツです。頑張ってください。
母音の4番【e】の発声方法
母音の4番【e】の音は口の「前の下の方」で出すイメージです。あごをしっかりおろして口をたてに開けて「エ」の音をだします。母音の3番【ei】の最初のeの音と同じです。日本語の「え」の音とは少し違います。日本語の「え」を5-6回連続して発音してみてください。おそらく口をほとんど開けず(あごをしっかりおろさず)に発音できたと思います。英語の【e】をだすにはあごをしっかりおろして口をたてに開けます。結果として日本語の「え」を発音する時より時間がかかるはずです。
音をだす場所も日本語の「え」よりも少し前の下の方でだすイメージです。口を開ければその分だけ音を出すのに時間がかかるということを頭に入れておいてください。これは英語の発音を練習する上ではとても有益な知識(あたりまえの理屈ともいえます)です。このことを知って実戦できるかできないかが、あなたの英語を聞きやすいリズムのあるものにできるかどうかの重要な一歩と言っても過言ではありません。是非大げさに口をあけて練習して、その分発音に時間がかかっていることを意識してください。以下に母音4番の単語を紹介します。
母音4番の単語紹介(ストレスマークはすべてeの上です)
bet【bet】を賭ける
guess【ges】を推測する
send【send】を発送する
egg【eg】卵
bed【bed】ベッド
enter【entər】に入る
先取り!
上の単語の中でbetとbedを発音すると、実はbedの方が長く時間がかかります。これは母音eの後の子音が有声音のためです(tは無声音でdは有声音です。無声音というのは発声のときにのどが振動しません。有声音は発声のときにのどが振動します。)母音に有声音が続く場合、それだけ発声に時間がかかります。betとbedを発音し比べて、bedの方が時間がかかるようであればgoodです。
母音の5番【æ】の発声方法
母音の5番【æ】の音は口の「ずっと前のずっと下の方」で出すイメージです。母音4番【e】よりもさらに前の下の方です。当然その分あごをおろして口を開きますので、発声にはさらに時間がかかります。前の下の方で音をだす結果、音が少しつぶれたような感じになります。4番の時よりも、口・あご・舌に力が入った感じになります。ちょっと猪木のあごみたいになるかもしれません(けっしてあごを突き出せという意味ではありません)。発声しているときには、口角からあごの先端あたりにかけて、かなり力が入った状態になっていればgoodです。
母音5番の単語紹介(ストレスマークはすべてæの上
gas【gæs】ガス
sand【sænd】砂
pat【pæt】軽くたたく
apple【æpl】リンゴ
cat【kæt】ネコ
bad【bæd】悪い
man【mæn】男
hat【hæt】帽子
やってみよう!
口を大きく開けば、その分時間も長くかかると説明してきました。また母音の後に無声音がつづくのか有声音がつづくのかによっても、かかる時間が違うとも説明しました。次の3つの単語を順番に発音しながら感じをつかんでください。下の単語ほど時間がかかっていればgoodです。
bet【bet】
bed【bed】
bad【bæd】
※あくまでも正しく発声した結果として下の方の単語の方が余計に時間がかかるのであり、故意に時間を調整することではありませんのでくれぐれもご注意ください。
母音の6番【a】の発声方法
母音の6番【a】の音は、おもいっきりあごをおろして、めいっぱい口を開けてだす音です。母音5番【æ】よりもさらに発声に時間がかかります。5番の音では、「口角からあごの先端あたりにかけてかなり力が入った状態」と説明しましたが、今回の6番【a】の音は、もっと単純です。とにかくめいっぱいあごをおろして口を開ければいいのです。注意点は、口をめいっぱい開けるといっても、横方向に開ける意識はありません。とにかくガンとあごを下に落とす感じです。指4本を縦に咥えるイメージです。練習をしていて、「この音を発声するには時間がかかるんだな」ということが感じられればgoodです。
母音6番の単語紹介(ストレスマークはすべてaの上です)
sod【sad】草地
hot【hat】暑い
pot【pat】ポット
shop【ʃap】店
top【tap】頂上
comic【kamik】喜劇の
アドバイス
口を大きく開けて発音する単語は言い終わるまでに余計に時間がかかります。これはあごをおとして口を大きく開けるわけですから、物理的に長い距離をあごが行き来するわけです。長い距離を行き来すればその分時間がかかるのは当然です。そしてこうした現象は、正しく発声をしていれば結果として自然とそうなるはずです。故意に時間を調整するものではないということを、くれぐれも忘れないようにしてください。
母音の7番【ə】/強【ʌ】の発声方法
まず始めに、これまでの母音とちがい、母音の7番には2つの発音記号が記載されている理由を説明します。1つは【ə】でもう1つは【ʌ】です(【ʌ】の方には“強”と書いてあります)。英語の単語の中には、短いものもあれば長いものもあります。短いものですと例えばrun(走る)がそれにあたります。この単語の発音記号は【rʌn】でストレス(強く発音する)するところは【ʌ】のところです(母音がこれしかありませんので当然ここがストレスする場所になります)。このように母音7番の音であり、かつストレスする場合に【ʌ】の発音をします。
それに対して【ə】の発音をするのはストレスをしない時です。これは長い単語を発音するときに必要になってくる音です。例えばdifficult(むずかしい)という単語の発音記号を見てみましょう。発音記号は【difəklt】です。ストレスするところは【i】のところです。この単語は長いので、母音が2つあります(【i】と【ə】)。その中でストレスをする方は【i】の方です(【i】は母音の2番です)。【ə】はストレスをしない母音です。このようにストレスをしない時の母音が7番の時に【ə】の発声をします。この2つの母音【ʌ】も【ə】も口の中の同じ場所(口の中の真ん中あたり)で出しますが、ストレスをする場合としない場合の2つの音があるということなのです。それぞれの発音をしっかりと出せるようにしましょう。
まずはストレスのある場合の音【ʌ】から説明します。母音の7番【ʌ】の音は口の「真ん中あたり」で出すイメージです。なにかを思い出したり、ちょっとおどろいたりした時にでる「あっ」の音です。日本語の「あ」の音に比較的ちかい音です。ただし日本語の「あ」よりすこしだけ口の奥側でだす音です。日本語ではあまり口を開けなくても「あ」の音はだせますが、英語で【ʌ】の音をだす時はしっかりと口を開きます。
次にストレスをしない場合の音【ə】を説明します。音をだす場所はストレスをする場合と同様に口の「真ん中あたり」で出すイメージです。ちがうところは、【ə】の音をだす時はあまり口をあけません。この音を発音する時に、強く発声することはありませんので、曖昧模糊(あいまいもこ)とした音を、あまり口も開かずに発声すればokです。口もあまり開きませんので、発声には時間もかかりません。長い単語のこの部分を読むときは、それこそあっという間に通り過ぎてしまう感じです。それではいくつか母音7番を使う単語を使って練習しましょう。
母音7番の単語紹介(ストレスマークはすべてʌの上です)
※この練習ではすべてストレスのある【ʌ】の発音をする単語のみを使っています。
cup【kʌp】茶わん
duck【dʌk】アヒル
hut【hʌt】小屋
luck【lʌk】運
run【rʌn】走る
study【stʌdi】を勉強する
public【pʌblik】公共の
母音の8番【ər】の発声方法
母音の8番【ər】の音は口の真ん中あたりでだします。この音をだす時は、上下の唇をぴったり閉じることはありませんが、ほとんど開かず口の中や舌に力を入れて出します。舌を少し口の奥の方へゆっくり巻き込みながら、大きな土佐犬が低く凄みをきかせて「うー」とうなるような音をだします。
母音8番の単語紹介(ストレスマークはすべてərの上です)
urge【ərʤ】を急き立てる
girl【gərl】女の子
bird【bərd】鳥
first【fərst】1番目の
third【θərd】3番目の
※辞書の発音記号には【ər】の代わりに【ə:】となっている場合が多いと思いますが、どちらも同じ音を指していますのでご注意ください。
母音の9番【ɔ:】の発声方法
母音の9番【ɔ:】の音は、おもいっきりあごをおろして、めいっぱい口を開けてだす音です。母音の6番もおもいっきりあごをおろして発音しますので、音の出し方は似ています。母音の6番では指4本縦に咥えるイメージと書きましたが、こちらの9番の方は大きな鶏の卵を縦にして丸呑みするイメージです。6番に比べて、少し口の奥を広げる感じです。あごをまっすぐおろすのが6番だとすれば、9番は若干手前側におろすことで、口の奥に卵が丸ごと入るような空間を作るイメージです。6番の音より口の少し奥で音をだします。
母音9番の単語紹介(ストレスマークはすべてɔ:の上です)
bought【bɔ:t】buy(を買う)の過去・過去分詞形
chalk【ʧɔ:k】チョーク、白墨
ball【bɔ:l】球
caught【kɔ:t】catch(をつかまえる)の過去・過去分詞形
アドバイス
9番の音はなかなか出すのが難しい音です。あごをしっかりおろして口を開けるだけでなく、さらに口の奥に空間ができるように舌を少し奥に引っ込めるようにして、口の奥目で少しこもったような音をだします。口の中でこれだけのいろいろなプロセスを同時に瞬時に正確におこなうことで、ようやく正確な9番の音がだせるのです。繰り返し練習をして、口や舌の筋肉を鍛え、意識せずとも正確な音が出せるようになることがいかに重要か理解できると思います。9番の音の出し方のコツをつかむために6番の音をしっかり出せるようにして、比較させながら習得するのも一つの方法かと思います。一つ一つの発音が身についてくれば、今度はその音とほかの音を比較することで、だんだんそれぞれの音が正確になっていくと思います。あせらず地道に繰り返し練習を行ってください。
母音の10番【ou】の発声方法
母音の10番【ou】の音は2重母音と呼ばれる音です。母音が2つつながっている音という意味です(母音の3番【ei】も2重母音です)。この音の出し方は、同じ2重母音の3番に似ています。一度あごをおろして口をたてに開けて「オ」の音を出した瞬間にリズムよくあごをもどして口を閉じながら「ウ」の音をだすプロセスになります。ここで重要なのは、「オ・ウ」とそれぞれに同等のストレスをおくのではなく、「オゥ」という感じで、「オ」に目いっぱいエネルギーを注ぎ、口が閉じるタイミングで気持ち程度に「ゥ」をそえる感じです。当然発声をしている時間的配分も「オ」の方が「ゥ」よりも圧倒的に長くなっているはずです。
上のチャート図からも分かる通り、3番の音は「口の前の方で作る音」でしたが、この10番の音は「口の奥の方で作る音」です。イメージとしては、けんかなどで、「オゥ!」と相手を威圧する時に出すような音です。音をだし終わった時点では、唇には力が入りつぼまっているはずです(3番の音をだし終わった時点では、エィのィですから、少し口角が横に引っ張られた形になっているはずです)。
母音10番の単語紹介(ストレスマークはすべてoの上です)
boat【bout】小舟
choke【ʧouk】を窒息死させる
soap【soup】石けん
coat【kout】上着
know【nou】を知っている
show【ʃou】を見せる
比べてみよう!
母音の3番と10番はどちらも2重母音です。あごを一度おろしてから戻して音をだすというプロセスは同様です。ただし音をだす場所が、3番【ei】は口の「前の下の方」なのに対して10番【ou】は口の「奥の下の方」でだす音です。2つの単語を並べましたので実際に声をだしながら、それぞれの音が口の中のちがう場所でつくられていることを感じてください。
母音の3番【ei】 | 母音の10番【ou】 |
bait【beit】(eにストレス) | boat【bout】(oにストレス) |
もう一つ比べてみよう!
日常カタカナ英語を多く使っていると思います。カタカナでは同じ発音だけども実際の英語の発音はちがうということが多くあります。これまでの母音練習の単語紹介でよい例がありましたので紹介します。下の表の2つの単語を交互に何度か発音してみてください。
母音の9番【ɔ:】 | 母音の10番【ou】 |
chalk【ʧɔ:k】(ɔ:にストレス) | choke【ʧouk】(oにストレス) |
母音9番のchalkは学校の先生が黒板に字を書く時に使うものです。
母音10番のchokeはプロレスの首をしめるような技の名前に使われています。 どちらも日本語ではチョークと発音しますが、9番と10番の母音の出し方がまったくちがうことを考えれば、カタカナ英語をそのまま英会話に用いてもなかなか正しくは伝わらないことがよく分かると思います。是非こうしたちがいも意識しながら練習してください。
母音の11番【u】の発声方法
母音の11番【u】の音は口の「真ん中より少し奥の方」で出すイメージです。母音7番の音をさらに少し奥で出す感じです。母音7番の音の出し方をまず復習してみましょう。
母音の7番【ʌ】の音は口の「真ん中あたり」で出すイメージです。なにかを思い出したり、ちょっとおどろいたりした時にでる「あっ」の音です。日本語の「あ」の音に比較的ちかい音です。ただし日本語の「あ」よりすこしだけ口の奥側でだす音です。日本語ではあまり口を開けなくても「あ」の音はだせますが、英語で【ʌ】の音をだす時はしっかりと口を開きます。
このように母音の7番【ʌ】は口をしっかり開けて発音しますが、今回の母音の11番【u】の音は口をほとんど開けずにだします。7番【ʌ】の音が、日本語の「あ」よりも少し奥でだす音で、11番【u】はそこからさらに奥でだしますので、かなりこもった音になります。前に向かって発声するというよりは、すこし後頭部の方へ向かって音をだすイメージかもしれません。比較練習として、口をしっかり開けて7番【ʌ】の音を「ア・ア・ア」と出した後、口を軽くすぼめて11番【u】の音を「ウ・ウ・ウ」とだすことで、11番【u】の音が7番【ʌ】の音より口の奥で作られていることを意識してください。
母音11番の単語紹介(ストレスマークはすべてuの上です)
look【luk】見る
pull【pul】を引っ張る
put【put】を置く
good【gud】よい
foot【fut】足(くるぶし以下の部分)
book【buk】本
cook【kuk】を料理する
母音の12番【u:】の発声方法
母音の12番【u:】の音は口の「奥の奥の上の方」で出すイメージです。母音11番【u】の音もかなり奥でだしますが、それよりさらに奥でなおかつ上の方で出します。この音をだす時は唇には力が入りつぼまり、前に突き出た状態になります。同時に音は奥の上の方でだしますので、後頭部をうしろから引っ張られたような感じで、後ろの方に向かって音をだすイメージです。この音をしっかりだすには口は前、後頭部は後ろ、目はびっくり見開いたような、こっけいな顔になります。見た目は若干「ひょっとこ」のお面みたいな印象です。ただし唇は力が入りつぼまり、後頭部にむけて発声をする感じですから、顔中の筋肉を緊張させてつくる音ですので、「ひょっとこ」のゆるい感じではまったくありませんのでご注意ください。
母音12番の単語紹介(ストレスマークはすべてuの上です)
boot【bu:t】長靴
pool【pu:l】プール(スイミングプール)
suit【su:t】スーツ(衣服)
room【ru:m】部屋
school【sku:l】学校
soon【su:n】まもなく
food【fu:d】食べ物
アドバイス
10番~12番の母音はすべて口の中の奥の方で出す音です。日本語は口の奥の方で音をだすことはあまりないと思います。そのため、これらの母音の発音は難しく感じられると思います。しかしこうした日本語にない音を一つずつ練習して身につけていくことで、聞き手に「あ、この人の英語は聞きやすいな」と思われる発音に近づけていくことができます。正しい発音を身につける意義をしっかりと認識して、モチベーションを上げて練習に取り組みましょう。
母音の13番【ai】の発声方法
母音の13番【ai】の音は2重母音と呼ばれる音です。母音が2つつながっている音という意味です(母音の3番【ei】および10番【ou】も2重母音です)。この音の出し方は、他の2重母音の出し方に似ています。一度あごをおろして口をたてに開けて「ア」の音を出した後にリズムよくあごをもどして口を閉じながら「イ」の音をだすプロセスになります。ここで重要なのは、「ア・イ」とそれぞれに同等のストレスをおくのではなく、「アィ」という感じで、「ア」に目いっぱいエネルギーを注ぎ、口が閉じるタイミングで気持ち程度に「ィ」をそえる感じです。当然発声をしている時間的配分も「ア」の方が「ィ」よりも圧倒的に長くなっているはずです。発音はこれまでに学習した母音6番【a】を出した後で母音2番【i】に移る感じです。
母音13番の単語紹介(ストレスマークはすべてaの上です)
buy【bai】を買う
shy【ʃai】恥ずかしがりの
pie【pai】パイ(料理やお菓子)
guy【gai】(成人のまたは若い)男
dye【dai】を染める
die【dai】死ぬ
母音の14番【au】の発声方法
母音の14番【au】の音は2重母音と呼ばれる音です。母音が2つつながっている音という意味です(母音の3番【ei】、10番【ou】、13番【ai】も2重母音です)。この音の出し方は、他の2重母音の出し方に似ています。一度あごをおろして口をたてに開けて「ア」の音を出した後にリズムよくあごをもどして口を閉じながら「ウ」の音をだすプロセスになります。ここで重要なのは、「ア・ウ」とそれぞれに同等のストレスをおくのではなく、「アウ」という感じで、「ア」に目いっぱいエネルギーを注ぎ、口が閉じるタイミングで気持ち程度に「ウ」をそえる感じです。当然発声をしている時間的配分も「ア」の方が「ウ」よりも圧倒的に長くなっているはずです。発音はこれまでに学習した母音6番【a】を出した後で母音11番【u】に移る感じです。
母音14番の単語紹介(ストレスマークはすべてaの上です)
now【nau】今すぐ
cow【kau】ウシ
how【hau】どのようにして
bow【bau】おじぎをする
vow【vau】誓う
子音も大切
上の単語でbowとvowは子音のbとvがちがいます。意味も当然ちがいます。日本語の子音にはbはありますが、vはありません。子音についてもしっかりと発音を身につけて、その時々で適切な単語を、自信をもって使い分けられるようにしましょう。
母音の15番【oi】の発声方法
母音の15番【oi】の音は2重母音と呼ばれる音です。母音が2つつながっている音という意味です(母音の3番【ei】、10番【ou】、13番【ai】、14番【au】も2重母音です)。この音の出し方は、他の2重母音の出し方に似ています。一度あごをおろして口をたてに開けて「オ」の音を出した後にリズムよくあごをもどして口を閉じながら「イ」の音をだすプロセスになります。ここで重要なのは、「オ・イ」とそれぞれに同等のストレスをおくのではなく、「オィ」という感じで、「オ」に目いっぱいエネルギーを注ぎ、口が閉じるタイミングで気持ち程度に「ィ」をそえる感じです。当然発声をしている時間的配分も「オ」の方が「ィ」よりも圧倒的に長くなっているはずです。発音はこれまでに学習した母音9番【ɔ:】を出した後で母音2番【i】に移る感じです。
母音15番の単語紹介(ストレスマークはすべてɔの上です)
boy【bɔi】少年
toy【tɔi】おもちゃ
soy【sɔi】しょう油
joy【ʤɔi】喜ぶ
アドバイス
13番~15番の母音はすべて2重母音です。2重母音はその名の通り、母音がつづく発音です。これまでの1つ1つの母音がしっかりと出せるようになれば、それをつなげるだけですのでそれほど難しくはないと思います。ただし記事の中でも書きましたが、大事なことは、2つの母音を均等に発声するのではなく、最初の母音にしっかりとエネルギーをそそぎ、続く母音はそえる程度にするということです。こうしたことを単語レベルでしっかりとできるようになれば、英語を読んだり話したりするときに必要なリズムも習得が容易になります。ストレスする場所としない場所をしっかり意識して、強弱をはっきりとつけるようにしてください。
補足
これまでの母音の発音関連記事の中で、2重母音については全部で5種類解説しました。母音の種類の数え方はいくつかあるようです。2重母音をさらに2つ追加して7種類と数えることもあるようです。また母音8番【ər】とつながる母音を別の母音として数えることもあるようです。しかし基本的には今回解説してきました15種類の音をしっかりと正確に出せるようになれば、どんな母音が続いたとしても自然に適切な音をだせるようになります。是非大きな声で繰り返し練習をして、1回で正確に相手に伝わる英語を目指していきましょう。
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